アトピー性皮膚炎の治し方を解説。薬物療法から生活改善まで|保谷駅前皮膚科|西東京保谷駅の皮膚科・美容皮膚科・小児皮膚科

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アトピー性皮膚炎の治し方を解説。薬物療法から生活改善まで

アトピー性皮膚炎の治し方を解説。薬物療法から生活改善まで|保谷駅前皮膚科|西東京保谷駅の皮膚科・美容皮膚科・小児皮膚科

2026年4月23日

アトピー性皮膚炎の治し方を解説。薬物療法から生活改善まで

アトピー性皮膚炎の治療は日進月歩で進化しており、近年では生物学的製剤やJAK阻害薬など新しい治療薬が次々と登場し、治療の選択肢が大きく広がっています。従来の治療で十分な効果が得られなかった患者様にも、新たな改善の可能性が広がっています。

本記事では、アトピー性皮膚炎の治し方について、基本的な外用療法から最新の全身療法まで、医師が詳しく解説します。適切な治療とセルフケアを継続することで、症状をコントロールし、日常生活の質を向上させることができます。

アトピー性皮膚炎の治し方における3つの柱

アトピー性皮膚炎の治し方における3つの柱

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024では、治療の3本柱として「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子への対策」が示されています。この3つを適切に組み合わせることで、症状の改善と寛解維持を目指します。

薬物療法

皮膚の炎症を抑えるために、ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などの抗炎症外用剤を使用します。症状の重症度に応じて、内服薬や注射薬による全身療法も選択されます。近年では、JAK阻害薬やPDE4阻害薬などの新しい治療薬も登場し、治療の選択肢が広がっています。

スキンケア

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下しているため、保湿剤を用いたスキンケアが重要です。皮膚を清潔に保ち、適切な保湿を継続することで、バリア機能の回復を促し、アレルゲンの侵入を防ぐことができます。

悪化因子への対策

ダニやハウスダスト、汗、ストレスなど、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は人によって異なります。日常生活の中でこれらの悪化因子を特定し、可能な限り除去または対策を行うことが症状改善につながります。

アトピー性皮膚炎の治し方1:薬物療法

アトピー性皮膚炎の治し方1:薬物療法

アトピー性皮膚炎の治療において、薬物療法は症状を改善し、炎症をコントロールするための中心的な役割を果たします。治療は外用療法を基本とし、症状の程度に応じて内服療法や注射療法を組み合わせます。

外用療法(塗り薬)

外用療法は、アトピー性皮膚炎治療の第一選択です。皮膚の炎症を直接抑え、バリア機能を回復させることを目的とします。

ステロイド外用剤

ステロイド外用剤は、アトピー性皮膚炎治療において最も広く使用されている抗炎症剤です。炎症を速やかに抑える効果があり、適切に使用することで安全に症状を改善できます。

ステロイド外用剤は強さによって5段階に分類されており、皮膚炎の重症度や塗布する部位に応じて適切な強さを選択します。顔や首などの皮膚が薄い部位には、体幹部よりも弱いランクのステロイドを使用します。

長期間の不適切な使用により皮膚萎縮などの副作用が生じることがありますが、医師の指示に従って適切な強さと期間で使用すれば副作用のリスクは低く抑えられます。

症状が落ち着いた後は、弱いランクへの変更や非ステロイド外用剤への切り替えを検討します。副作用が生じた場合も、使用を中止することで多くは回復可能です。

プロトピック(タクロリムス軟膏)

タクロリムス軟膏は、免疫抑制作用により炎症を抑える外用薬です。成人用の0.1%製剤は、中等度から強力クラスのステロイド外用剤に匹敵する効果があるとされています。

有効成分の分子量が大きいため、炎症のある皮膚からは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されません。この特性により、顔や首など長期のステロイド使用が懸念される部位での使用に適しています。

使用開始時の数日間は塗布部位のひりつきやほてりを感じることがありますが、継続して使用することで刺激感は次第に軽減します。

コレクチム(デルゴシチニブ軟膏)

デルゴシチニブ軟膏は、JAK(ヤヌスキナーゼ)を阻害することで炎症を抑える外用薬です。JAKは炎症を引き起こすサイトカインのシグナル伝達に関与しており、この働きを阻害することで炎症やかゆみを抑制します。

ストロングクラスのステロイド外用剤とほぼ同程度の効果があり、2020年にアトピー性皮膚炎治療薬として承認されました。

モイゼルト(ジファミラスト軟膏)

ジファミラスト軟膏は、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)を阻害する外用薬です。PDE4は多くの免疫細胞に存在し、炎症を引き起こす物質の産生に関与しています。

この薬剤の働きを抑えることで、炎症物質の産生を減少させ、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。52週までの長期試験で安全性が確認されており、長期使用が可能な設計となっています。塗布する部位による制約がないのが特徴です。

保湿剤

保湿剤は、アトピー性皮膚炎における皮膚のバリア機能低下を補う重要な役割を果たします。ヘパリン類似物質含有製剤やワセリンなど、さまざまなタイプがあります。

入浴後など皮膚が潤っている状態で塗布することで、皮膚の水分保持を助け、外部刺激やアレルゲンの侵入を防ぎます。抗炎症外用剤と併用することで、治療効果を高めることができます。

内服療法(飲み薬)

外用療法で十分な効果が得られない中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対して、内服療法を併用します。全身に作用するため、広範囲の皮膚症状に対して効果を発揮します。

抗ヒスタミン剤

抗ヒスタミン剤は、アトピー性皮膚炎のかゆみに対して最もよく使用される内服薬です。ヒスタミンという物質の働きを抑えることで、かゆみなどのアレルギー症状を軽減します。

かゆみによる掻き壊しを防ぐことで、皮膚症状の悪化を予防する補助的な役割を果たします。眠気などの副作用に配慮し、患者様の生活スタイルに合わせて適切な薬剤を選択します。

経口JAK阻害薬

経口JAK阻害薬は、炎症を引き起こすサイトカインのシグナル伝達を阻害することで、アトピー性皮膚炎の症状を改善する内服薬です。

現在、オルミエント(バリシチニブ)、リンヴォック(ウパダシチニブ)、サイバインコ(アブロシチニブ)の3種類が使用可能です。オルミエントはJAK1とJAK2を阻害し、2歳以上が適応となります。リンヴォックとサイバインコはJAK1を選択的に阻害し、12歳以上が適応です。

服用開始早期からかゆみや湿疹の改善が期待でき、比較的速やかな効果が得られます。定期的な血液検査や感染症のモニタリングが必要です。

シクロスポリン

シクロスポリンは免疫抑制剤に分類される内服薬で、免疫反応を抑制することで炎症を鎮めます。他の治療で十分な効果が得られない重症の患者様が対象となります。

適応年齢は16歳以上で、連続服用は最大3ヶ月までです。症状が改善しない場合でも、そこで休薬期間を設ける必要があります。長期使用での安全性が確立していないため、症状が軽快したら一般的な治療に切り替えます。

注射療法(生物学的製剤)

生物学的製剤は、アトピー性皮膚炎の病態形成に関与する特定のサイトカインの働きを直接抑える注射薬です。外用療法や経口JAK阻害薬で十分な効果が得られない中等症から重症の患者様に適応があります。

経口JAK阻害薬と比較して、免疫抑制作用による副作用が少なく、シクロスポリンなどの従来の免疫抑制薬に比べて定期的な採血などの検査負担が少ない点がメリットです。

多くの製剤で自宅での自己注射が可能なため、頻回の通院が難しい方にも適しています。

デュピクセント

デュピクセント(デュピルマブ)は、アトピー性皮膚炎治療における生物学的製剤の代表的な薬剤です。IL-4とIL-13という2つのサイトカインの受容体に結合し、その働きを阻害します。

これらのサイトカインは、皮膚の炎症、かゆみ、バリア機能低下を引き起こす主要な物質です。デュピクセントはこれらを抑えることで、アトピー性皮膚炎の根本的な病態改善が期待できます。

適応年齢は生後6ヶ月以上です。成人では初回に600mg(注射2本)を皮下投与し、2回目以降は300mg(注射1本)を2週間間隔で投与します。自己注射が可能であり、最大6本(3ヶ月分)までの処方が認められています。

主な副作用は注射部位反応と結膜炎です。結膜炎は約10〜20%の患者様に見られますが、多くの場合、抗アレルギー薬の点眼で改善します。

ミチーガ

ミチーガ(ネモリズマブ)は、IL-31受容体に対するモノクローナル抗体です。IL-31はかゆみの発生に強く関与するサイトカインであり、この薬剤はかゆみに対して特に高い効果を示します。

適応年齢は6歳以上です。1回60mg(注射1本)を4週間間隔で皮下投与します。投与後数時間からかゆみの軽減を実感する患者様もおり、即効性が特徴です。

皮疹はそれほど重症ではないものの、かゆみが非常に強く夜間の睡眠が妨げられるような患者様に適しています。一方で、一部の患者様では、かゆみが改善しても皮疹の紅斑が悪化する浮腫性紅斑という副作用が見られることがあります。

アドトラーザ

アドトラーザ(トラロキヌマブ)は、IL-13に選択的に結合するモノクローナル抗体です。IL-13はアトピー性皮膚炎の病変形成に重要な役割を果たすサイトカインです。

適応年齢は15歳以上です。初回のみ600mg(注射4本)を皮下投与し、2回目以降は300mg(注射2本)を2週間間隔で投与します。2024年4月から自己注射が可能となり、利便性が向上しました。

デュピクセントがIL-4とIL-13の両方を抑えるのに対し、アドトラーザはIL-13のみを抑制するため、デュピクセントで見られやすい結膜炎の副作用が少ない可能性があります。

アトピー性皮膚炎の治し方2:スキンケア

アトピー性皮膚炎の治し方2:スキンケア

スキンケアは、アトピー性皮膚炎治療の基盤となる重要な要素です。適切なスキンケアを継続することで、皮膚のバリア機能を回復させ、症状の悪化を予防できます。

皮膚を清潔に保つ

アトピー性皮膚炎の皮膚には、黄色ブドウ球菌などの細菌が増殖しやすい状態にあります。汗や汚れを放置すると、これらの細菌がさらに増殖し、炎症を悪化させる原因となります。

入浴やシャワーで皮膚を清潔に保つことが大切です。ただし、熱すぎるお湯や長時間の入浴は、血流が良くなることでかゆみを増強させる可能性があります。お湯の温度は37〜38℃程度とし、長風呂は避けましょう。

体を洗う際は、低刺激性・低アレルギー性のボディソープや石鹸を選び、よく泡立ててから手のひらで優しく洗います。強くこすると皮膚を傷つけ、バリア機能をさらに低下させるため注意が必要です。洗浄剤はしっかりとすすぎ、皮膚に残らないようにしましょう。

保湿を徹底する

アトピー性皮膚炎の患者様では、一見正常に見える皮膚でも実際には乾燥しています。皮膚の水分保持機能が低下しているため、保湿剤を用いて継続的に保湿することが必要です。

保湿剤は入浴後、皮膚が潤っている状態で速やかに塗布するのが最も効果的です。入浴により皮膚の水分量は一時的に増加しますが、そのまま放置すると急速に水分が蒸発してしまいます。入浴後できる限り早く、全身に保湿剤を塗りましょう。

保湿剤は適量をしっかりと塗ることが重要です。塗った部位にティッシュを当てて落ちない程度が適量の目安です。ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤、ワセリンなど、さまざまなタイプの保湿剤があります。使用感の良いものを選び、毎日継続して使用することが大切です。

紫外線対策を徹底する

紫外線は皮膚への刺激となり、アトピー性皮膚炎のかゆみを強める原因となることがあります。日差しが強い時期には、紫外線から肌を守る対策が必要です。

最も手軽で効果的な方法は、日焼け止めを塗ることです。ただし、アトピー性皮膚炎の患者様は皮膚のバリア機能が低下しているため、塗布時の摩擦で皮膚を傷める可能性があります。伸びが良く、低刺激性の日焼け止めを選びましょう

日焼け止め以外の方法として、帽子やサングラス、薄手の長袖などで物理的に紫外線を遮断する方法も有効です。日傘の使用も効果的です。外出時間を調整し、紫外線が最も強い午前10時から午後2時の時間帯を避けることも一つの方法です。

アトピー性皮膚炎の治し方3:悪化因子への対策

アトピー性皮膚炎の治し方3:悪化因子への対策

アトピー性皮膚炎を悪化させる要因は人によって異なります。日常生活の中で悪化因子を特定し、適切に対策することで症状の改善が期待できます。

ダニ・ハウスダスト対策

ダニ、特にチリダニ(ヒョウヒダニ)は、アトピー性皮膚炎の主要な悪化因子の一つです。ダニのフンや死骸が体内に入ると、免疫システムがアレルギー反応を引き起こします。

ダニは高温多湿な環境を好み、布団やカーペット、畳などで繁殖します。家の中からダニを完全に除去することは困難ですが、掃除によって数を減らすことは可能です。

寝具は布団カバーを週1回以上洗濯し、布団自体も週1回以上天日干しした後、掃除機で表面を吸引します。床の掃除では、まず拭き掃除を行ってから掃除機をかける順番が重要です。掃除機は1平方メートルあたり20〜30秒かけて、できるだけ毎日行うことを推奨します。

カーテンは定期的に洗濯し、ソファは布製よりも革製または合成皮革の方が望ましいとされています。

汗対策

汗はアトピー性皮膚炎の主要な悪化因子です。一方で、汗は皮膚の保湿や角層バリアの機能維持に重要な役割を果たしています。問題なのは汗をかくことではなく、汗をかいた後そのまま放置することです。

汗をかいたときは、速やかにシャワーを浴びる、手や足の汗は水で洗い流す、おしぼりで拭き取る、衣服を着替えるなどの対応を行いましょう。

衣服による刺激対策

硬い生地の服や、飾り模様などで凹凸が多い衣服は、皮膚に刺激を与えて症状を悪化させることがあります。コットン素材など、肌触りの良い衣服を選びましょう。

柔らかい生地でも、ひらひらして皮膚に触れるようなものは、かゆみの原因となるため注意が必要です。また、汗を吸い取らない化学繊維や、温まりすぎるウール素材もかゆみを誘発します。

食生活の見直し

栄養バランスの偏った食生活は、アトピー性皮膚炎に影響を及ぼす可能性があります。極端なダイエットによる栄養不足は、肌のバリア機能を低下させ、皮膚症状を悪化させることがあります。

油分や脂肪の多い食事も症状悪化につながるといわれています。野菜を中心にさまざまな食材をバランスよく摂取することが大切です。炭水化物を含む糖質の過剰摂取は、腸内環境のバランスを崩しアレルギーを悪化させる可能性があるため、控えめにしましょう。

ストレス管理

強いストレスを受けると、交感神経が活発になり、コルチゾールというホルモンが大量に分泌されます。その結果、血管が収縮して皮膚の水分量が減少し、皮膚が乾燥します。

皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下し、かゆみや湿疹が生じやすくなります。ストレスをためにくい工夫をし、ストレスがたまったときは早めに発散することが必要です。

十分な睡眠を取り、規則正しい生活を心がけることも重要です。睡眠不足や昼夜逆転のような不規則な生活は、内分泌系や自律神経系の機能を乱し、症状を悪化させます。

まとめ

まとめ

アトピー性皮膚炎の治し方は、薬物療法、スキンケア、悪化因子への対策という3つの柱を適切に組み合わせることが基本です。

薬物療法では、ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏などの外用療法を中心に、症状に応じて内服薬や注射薬による全身療法を併用します。近年では、JAK阻害薬やPDE4阻害薬、生物学的製剤など新しい治療薬も登場し、治療の選択肢が広がっています。

スキンケアでは、皮膚を清潔に保ち、保湿を徹底することで、バリア機能の回復を促します。日常生活では、ダニやハウスダストの対策、汗への適切な対応、衣服による刺激の回避、食生活の見直し、ストレス管理などが重要です。

アトピー性皮膚炎は、適切な治療を継続することで症状をコントロールできる疾患です。症状がない、あるいは症状があっても軽微で日常生活に支障がない状態を目指し、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。

保谷駅前皮膚科では、患者様一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた治療を提案しています。アトピー性皮膚炎でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

保谷駅前皮膚科 院長 山口華央

保谷駅前皮膚科

院長 山口華央

皮膚の症状は目に見えるからこそ、深い悩みにもなれば、改善時の喜びも大きいものです。その喜びを患者様と共有したいという想いで皮膚科医を志しました。保険診療から美容皮膚科まで、お肌のお悩みに幅広く対応いたします。

【資格】
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
美容皮膚科・レーザー指導専門医
【経歴】
平成21年4月~平成23年3月:NTT東日本札幌病院 初期研修
平成23年4月~平成24年3月:札幌医科大学付属病院皮膚科
平成24年4月~平成25年3月:砂川市立病院皮膚科
平成25年4月~平成27年3月:札幌医科大学付属病院皮膚科
平成27年4月~平成28年3月:医療法人母恋 日鋼記念病院皮膚科
平成28年4月~平成29年3月:札幌医科大学付属病院皮膚科
平成30年4月~:グリーンウッドスキンクリニック立川
平成31年4月~:医療法人社団光美会 ルーチェクリニック
令和4年4月~:慈英会病院美容皮膚科

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