
白癬(水虫)・円形脱毛症
白癬(水虫)・円形脱毛症
白癬菌というカビの一種が皮膚に感染して起こる病気です。体のいろいろな所に感染しますが、足白癬が最も多く、次に爪白癬、その他にも体部や股間にも感染することがあります。
足白癬(足水虫)
趾間型
足指の間の皮膚が白くふやける、皮がむける、ジュクジュクする。
角質増殖型
足裏の皮膚が乾燥して分厚くなりひび割れを伴う。
小水疱型
小さな水ぶくれや軽い発赤が足裏にできる。
爪白癬(爪水虫)
爪が白く、厚く、もろくなる。
体部白癬(たむし、ぜにたむし)・股部白癬(いんきんたむし)
痒みを伴い、境界が鮮明な環状の紅斑として現れる。
頭部白癬(しらくも)
頭部にフケが付着した境界のはっきりとした局面として見られ、毛が抜ける。
手白癬
発症頻度は少ないが、足白癬と同じような症状が現れる。
顕微鏡検査にて白癬菌を確認します。爪白癬は顕微鏡で菌が見つかりにくい場合もありますが、この際には爪白癬抗原検出キットを使用することもあります。水虫の薬を塗っていると白癬菌が見つかりにくいことがあり、正しい判断ができません。自己判断で水虫薬を塗る前に受診することをお勧めします。
爪白癬以外の治療
塗り薬での治療が基本となります。
痒い所や皮がむけている所だけに塗るのでは十分ではありません。一見症状がない場所でも白癬菌が潜んでいる可能性はあるため、広範囲に塗ることが重要です。
痒みや皮むけがなくなっても白癬菌が完全に排除されたわけではありません。症状が良くなってすぐに薬を中止してしまうと、また再発することが多くなります。症状がなくなってからもしばらく(1ヶ月以上)は薬を塗り続ける必要があります。
足白癬の角質増殖型や重症の頭部白癬などの外用薬で治りにくいものでは、飲み薬での治療を行うこともあります。
爪白癬の治療
塗り薬では効果が出にくいため、飲み薬での治療が基本となります。
飲み薬の影響で肝機能障害等の副作用が生じる場合があるため、定期的に血液検査が必要です。
肝機能障害や薬の飲み合わせの問題で内服ができない方は、爪白癬用の塗り薬で治療を行います。
とくに頻度の多い足の水虫は以下のことに注意しましょう。
足の清潔に気を付ける
毎日足を石鹸で洗いましょう。スポーツクラブ、プール、公衆浴場などの床や足拭きマットを介して水虫がうつることが多いです。こういう所に出入りした後は帰宅後に足をよく洗うと感染の予防になります。
足を乾燥させる
長時間靴を履いていると湿気がたまって白癬菌が繁殖しやすくなります。靴を長時間履き続けない、1日履いた靴はよく乾燥させてから次に履くようにする、5本指靴下を履く、足の汗が多い人は日中に靴下を履き替えるなどの工夫をしましょう。
家族の水虫に注意
ご家族の中に無治療の水虫の方がいると、家庭内での再感染のリスクが多くなります。同居されているご家族で水虫を疑う症状のある方には受診を勧めてください。
髪の毛が円形に抜けてしまう病気です。頭髪だけでなく、眉毛、ひげ、体毛など広範囲に及ぶこともあります。
はっきりとした原因はわかっていませんが、自己免疫性疾患といって、脱毛部で自身の免疫機能が異常な働きをしていると考えられています。遺伝子的な素因を持つ人に疲労や感染症などの肉体的負荷、精神的ストレスなどが引き金となって発症するとされていますが、明らかな誘引がないことも多いです。
昔からストレスとの関連が言われていますが、精神的なストレスは原因というよりもきっかけの一つとなりうるもので、円形脱毛症=精神的ストレスという従来の考え方は見直されています。血縁者に発症者がいる場合の発症リスクが上がること、アトピー性皮膚炎の人ほどなりやすいことが報告されています。
橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチ、Ⅰ型糖尿病、重症筋無力症などの自己免疫性疾患が合併しやすいことも言われています。
通常型
単発型
小型の脱毛斑が1個のみのもの。多くは放置しておいても自然に治癒します。
多発型
複数の脱毛斑を認めるもの。
全頭型
脱毛が頭部全体に拡大したもの。
汎発型
脱毛が全頭以外に眉毛、まつ毛など全身に拡大したもの。
蛇行型
頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの。
最も一般的に使用される治療法です。局所の自己免疫反応と炎症を抑える効果があります。脱毛が広範囲の場合にはその他の治療法との併用が良いようです。
脱毛部の血流を良くする塗り薬です。有益性は十分に実証されていませんが、保険適応があり過去の診療実績による安全性から使用されることが多く、併用療法の一つとして使用されます。
脱毛部にステロイドの局所注射を4〜6週に1回行います。効果は高いですが、注射による痛みを伴うのが難点で、あまり広範囲のものには向きません。副作用として注射部位がへこんだり血管拡張が報告されています。
SADBE、DPCPといった化学物質を脱毛部位に外用し、アレルギー性皮膚炎(かぶれ)を繰り返し起こすことで免疫バランスを変化させて円形脱毛を改善することをねらったものです。保険適応とはなっておらず、当院では行っておりません。
紫外線を患部に照射することで円形脱毛症の原因となる毛包周囲のリンパ球を制御します。週に1〜2回の照射が必要です。
液体窒素による治療です。有用性は現段階では十分に実証されていませんが、簡便で副作用も軽微な点などから併用療法の一つとして行うことがあります。
併用療法の一つとして使用することがあります。アトピー 素因がある場合には効果が出やすいとされています。
保険適応があることと過去の診療実績による安全性から、併用療法の一つとして使用することがあります。
最近円形脱毛症に対しての適応が承認された新薬です。ステロイド内服や点滴ほどの副作用がなく、長期に使用できるのが特徴です。頭部全体の50%以上の脱毛をきたしている場合が適応となります。
定期的に血液検査、感染症検査、胸部X線検査等が必要です。
オルミエント(バリシチニブ):適応年齢は15歳以上、リットフーロ(リトレシチニブ):適応年齢は12歳以上
急速に進行する脱毛症においては通常の治療では進行を抑えることが難しいので、ステロイドの全身投与(内服、点滴)を行う場合があります。副作用として糖尿病、高血圧、高脂血症、胃潰瘍、骨粗しょう症、緑内障などがあるため、定期的に検査をして副作用がないことを確認しながら使用する必要があります。点滴でステロイドを投与する場合には入院が必要となります。
症状 | 推奨される治療 |
---|---|
単発型 少数の多発型 |
ステロイド外用薬 ステロイド局所注射 紫外線療法 |
広範囲の多発型 | ステロイド外用薬 局所免疫療法 紫外線療法 50%を超える場合はJAK阻害薬 |
全頭型 | 局所免疫療法 50%を超える場合はJAK阻害薬 |
蛇行型 | 局所免疫療法 ステロイド局所注射 50%を超える場合はJAK阻害薬 |
急速進行する重症例 | ステロイド内服 ステロイド点滴 |
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